2000年「グルグルっぽい正月」その一
加賀一の宮「菊理媛神」
 

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ククリヒメノミコト【菊理媛命】
 白山比剴神ともいふ。伊弉諾命が伊弉册命を追うて黄泉國に至り、同國から逃げ帰らんとして、黄泉平坂で争ひ給うた時、その中間に立って二尊の御言葉を取傳へ両者の間を調和して、相互の主張を聞入れしめ給うた神。御名もそれに起こるといふ説もある.石川県石川郡國幣中社白山比剴神社の主祭神。
(下中彌三郎篇(1937) 『神道大辞典』 臨川書店刊 より)

ククリヒメ【菊理媛神】(紀)
 イザナギが死んだイザナミを連れ戻しに黄泉国に赴き、見るなの禁忌を犯して逃げ帰る際、黄泉平坂において追ってきたイザナミと相論となったときに、イザナミの代弁をした神。ただし、具体的な発言の内容は記されていない。「日本書紀」の一書および「先代旧事本紀」にみえるが、「古事記」にはみえない。中世以後加賀の白山妙理権現の祭神であるとされるようになり、白山比剴神と同体とする説が一般化する。
(国学院大学日本文化研究所編(1994) 『神道事典』 より)

注:本文中に「剴」(口へんに羊)という文字が出てきます。「しらやまひめじんじゃ」の「め」です。お使いの日本語環境によっては表示されない、あるいは化ける可能性があります。ご了承ください。



 2000年の元旦をどう迎えようか、あれこれ思いをめぐらした方も多いかと思う。私の答えは「加賀一の宮でククリヒメノカミ様に初参り」であった。グルグルに出会って二年半、いよいよどハマリを演じ始めたという感もあるが…まあ、グルグルがいい一年、いい千年紀を迎えますように…と祈ってくるつもりだった。



 金沢には、大晦日…1999年12月31日の午後の3時半ごろに着いた。上野発6時16分の高崎行から水上、越後湯沢と鈍行を乗り継いで、北越急行線経由での行程であった。接続待ちの時間は終わらなかった年賀状書き、車内ではほとんど起きていられなかった。(行程表はこちら
 あたりはまだまだ明るい。加賀一の宮へは、北陸線で西金沢に出るか、バスで野町に出るかして、北陸鉄道に乗り換えて行くわけであるが、せっかくなので野町まで街なかを歩くことにした。北陸鉄道野町駅は、金沢駅から市街地を挟んだ南側、犀川の対岸にある。直線距離にしておよそ3km。金沢駅から武蔵ヶ辻、尾山神社、香林坊と、店を冷やかしながら歩く。ついでに市内の銭湯を、電話帳とコンビニの地図で調べる。野町の駅のあたりに3軒ほど銭湯があるらしい。よし!入っていこう。宿に泊まらない旅行者にとって、銭湯・温泉は貴重な空間。汗を流して着替えをして、場合によっては洗濯もできて。
 歩いているうちに日は暮れてきたが、時間にはまだ余裕があるので、香林坊の先で堅町の商店街に入ってみた。少し行くとアニメイトがあった。店に入った。

 なにを かいますか?  
 魔法陣グルグル クリアースタンプセット 13R
 魔法陣グルグル ステッカー 8R
 魔法陣グルグル したじき 5R
 魔法陣グルグル えんぴつ 3R
 魔法陣グルグル えんぴつキャップ 4R
 魔法陣グルグル スプーン ニケ 7R
 魔法陣グルグル フォーク ククリ 7R
 魔法陣グルグル グラス 28R
 魔法陣グルグル ほしくずのけん 36R
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   少し前−1995年ごろからグルグルを探していた方であれば、別に大した事はないものなのだが、私にとっては、これほど多種大量のグルグルのグッズが会しているのを見たのは初めてであった。もちろん、個々の商品も初めて目にするものばかりである。そして私は衝動買いに走った。…グラスセットなんてこれからどうやって持ち歩くんだ…。

 荷物を抱えたまま、とりあえず野町の駅前まで行き、そこにあった銭湯「野町湯」に入る。1999年の風呂の入り納め。湯船につかりながらいろいろと考えた。…グラスを持ち歩くのは絶対に不可能である。ぶつけて割るか、どこかに忘れてくるかのいずれかの末路となるのは必至。ではどうするか。まず、どこかに預けるというのは…あてがない。帰りのルートを考えると京都預けだが、コインロッカーに入れると¥300×8日=¥2400。中身より高い。京都までの輸送も厳しい。
 するとやはりここはひとつ、自宅に送りつけるしかない。しかし現在は大晦日の午後7時。郵便局は…そうかコンビニから送れるな。あとはいかに荷造りするかだが…。



 風呂から上がって、駅前の食堂で夕食を済ませた後、少し離れた国道沿いのコンビニへ。店のおじさんに事情を話して缶ビールの空き箱をもらい、グラスの箱の大きさに合わせて切り詰める。グラス自体は、ハンドタオルを2枚買って梱包。隙間には余りの年賀状やダンボールの切れ端を詰め込み、最後にガムテープを一切れもらって封をした。そして即発送。配達予定日は1月2日、料金は600円ちょいであった。無事に届くか心配ではあるが、自分で運ぶよりははるかに安全な筈。たのんだぞ黒猫。そしてファミリーマート野町店の店員各氏に感謝。

 店を出る頃には、時刻はすでに9時を回っていた。風呂にも入った、飯も食った。そろそろ頃合だろう。野町から、北陸鉄道の電車に乗った。今夜は、電車は初詣客輸送のために終夜運転。夜の金沢平野を、白山目指して南下する。30分と少し走って、山が迫ってきたあたりで終点の加賀一の宮駅に着く。白山比剴神社は歩いてすぐである。
 まだ参拝者はまばらで、参道に出た屋台も仕込み中のところが多い。雪がいくらか降ってきた。

 石段を登りきり、門をくぐると、拝殿の前に出る。境内はまだまだ準備中。あわただしい。今年のお守りを返納し、あとは焚火にあたりながらじっと新年を待つ。…ああ、今年もいろいろあったよな〜。



 菊理媛神の名を初めて知ったのは、1998年の11月ごろ、「続日本の地名」(谷川健一、岩波新書)を読んでいるときだった。以下に引用する。
「…ミツハとミヌマは呼称が変化するだけで同一神である。折口信夫は「水の女」の中で、イザナキにミソギを教えたククリヒメ(菊理媛)はミヌマの類の神ではないか、と言っている。…」
 ……?よくわからんが、そういう神様がいるらしい。もしや、ククリの名前の語源はここか?
 そこで、図書館の辞書事典を片っ端から引いてみた。その結果が、冒頭に挙げたような内容である(「水の女」の記述については未調査)。日本書紀にも確かに登場している。
 この結果を元に、今年(1999年)の正月にもここを訪れている。その時に買った暦で、菊理比剴神の現存を確認し、この神社が全国3000余の白山神社の総本社であることを知った。ご神体は白山そのものである。



 とにかく今年はおおむねグルグルと鉄道で明けたっけ。その後は…思い返せば、生活と思考が次第にグルグル化する一年であったな。アニメ版のビデオ借りて(その店はその後閉店したっけか)、ネットに出没して。夏のHUP4以降は加速度的だった…。FC加入して、青森行って、台湾行って、アニメイト巡礼してホームページ作ってコミケに行って、あげく年越しは加賀一の宮。グルグルに出会ってからはや2年半、たった一本の物語でこれだけ楽しめるんだから幸せなのか…?
 グルグルの奥の深さにも気づかされたな。一見シンプルな冒険物語、しかしその背後には一級品の鰹節のように広大な味わいの世界が広がっているという…(何か違うぞ)…。私の気づいたことはまだまだ少ないだろうけど。そういう、鰹節かみしめるような楽しみ方ができるのも、グルグルの一つの魅力だな。そう、鰹節。

 鰹節はいいから話を進めてくれ 


大晦日の白山比剴神社

 焚火を眺めているうちに、いよいよ零時が近づいてきた。雪はいつのまにか止んだようだ。拝殿前にはすでに長い列ができている。一応時計を取り出してはみたが…時刻があっているかどうかは確信持てない。あと一分くらいかな〜というあたりから、ぼちぼち散発的に歓声が上がった。そのうち軒先のスピーカーから「春の海」が流れ出し、拝殿入口の封鎖が解かれた。どうやら、いよいよ新年がやってきたようである。…なーんか別に何も変わった気はしないなあ。まあ、今年(2000年)の場合は「何も変わったことが無い」のがいいんだが。

 そのまま焚火にあたって混雑に一段落つくのを待つ。初参りにきているのは、ほとんど地元の人たちだろう。赤ちゃんから御年寄まで、実にいろんな人がいる。
 空いたのを見計らって列に加わる。拝殿前まで流れていって、さて、初参り。


 …何を祈ったかって?へへ〜。一つは、「グルグルがいい年でありますように。」ちょっと意味不明だけど。
 あとは…まあ、内緒。


 おみくじをひいた。「地雷復」…地道にいけばいいことあるだろう、と。…すると、今年もグルグルっぽい一年になるんだろうなあ。本業がかなり忙しくなるのは目に見えてるけど、それでも…いや、だからこそ、楽しみも多いほうがいいやね。少なくとも、「つまらない一年」にだけは、絶対にしたくない!前向きに行こうぞ!




 このあとはお神酒を頂いて、お守りや暦を買って、もう一度お参りしてから神社を後にした。屋台で買った、あったかい大判焼ほおばりながら駅まで戻る。
 さあ、いよいよこれからが、2000年の出だしを飾る、延々九日間の九州旅行のはじまりである。




2000年「グルグルっぽい正月」その二
九州大分「求来里川」



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